2018年01月12日

一枚の革で色々作ってみるD(最終回)〜レザーキャップも作ってしまえ〜!・・・の巻

このシリーズ、しつこくてスミマセン・・・。

革手袋の試作でかなり革を使ったつもりでしたが、まだ中途半端に残っておりまして・・・。

帽子作り(キャップ編)@.jpg

ということで、これまた以前から作ってみようと思っていた帽子作り、レザーキャップに挑戦です。

ブリムと呼ばれる帽子のつばには0.8oのスライサーを、またトップ・サイドのクラウンには0.3oの布ワッペンを芯材として貼りつけております。


帽子作り(キャップ編)A.jpg

こんな感じで10oのシロを採り縫い割ったところ・・。

帽子作り(キャップ編)C.jpg

ミシンで縫い割ってなだらかな曲線を出す、というのがカバンや革小物にはあまりない部分でしょうか・・。


帽子作り(キャップ編)B.jpg

帽子っぽくなってきました。


帽子作り(キャップ編)D.jpg

ブリムの先端部分には、形状を記憶してくれる“クラフトコード”を入れるのですが・・・、

帽子作り(キャップ編)E.jpg

こんな感じで縫い代部分に“からげ縫い”をしておきます。

帽子作り(キャップ編)F.jpg

・・・形としてはまあ、こんな感じで良いとは思うのですが、やはりブリムはスライサーでは柔らかすぎるような・・・。


“あり”か“なし”かでいえば、“あり”なんですが・・・・、自分の好みではないというか・・・。

ま、取り敢えず最後まで仕上げてみて・・・、ということで、


帽子作り(キャップ編)G.jpg

裏地の布を貼り、

帽子作り(キャップ編)H.jpg

後ろの長さ調節部分はDカン2個でまとめる感じですね・・・。

と、一通り試作を終えたところで・・・、

@ブリムはカチッとさせたいので、堅い心材がいいかな・・・と、あと
Aやはり革なので、普通のキャップより少し重いような・・・。

ということで、本番です。


37_1.jpg

心材は1.5oのベルポーレンを入れてみました。
う〜ん、いい感じ!

37_2.jpg

あと、クラウンパーツには裏地を敢えて貼らず革のみとし、その代わり裏地でデニム素材を使ってみました。
結果、重さはあまり変わらず、130g程・・・。

色々調べてみても、帽子の場合“頭囲”や“深さ”、“つば”の長さ位しか表記が無く、あまり重さは重要視していないようなので、こんなもんなのでしょう・・・。

37_3.jpg


37_4.jpg

ということで、ひと月程で“いろいろなもの”を作ってみました。

結構面白かったので、今後も暇をみては色々と作っていきたいと思います。
posted by tomo at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 帽子・手袋その他

2017年12月28日

一枚の革で色々作ってみるC(番外編)〜本格革手袋を作ってみる〜の巻

12月に入ってから“一枚の革で色々作ってみる”というタイトルで@〜B迄、様々な革小物を作成してきました。

が、まだ半分以上革が余っていたので、以前から作ってみようと思っていた“革手袋”の試作を行うことに・・・。

その人の足に合わせた靴が作れるのだから、手袋も作れるだろうと・・・。

革手袋試作@.jpg

まずは靴づくり同様、採寸です。
某革手袋のオーダーメイドを行っている工房の㏋等から、採寸方法をチェック・・・。

革手袋試作A.jpg

基本の型紙等もチラッと出ていたので、それをヒントにまずは靴づくりの感性で進めてみることに・・。
ネットで情報を探していると、量産型の手袋の場合はこの様な形の金型でどんどん革を抜いていくようです。

ということで、この形をベースにまずは片手分を作ってみると・・・、

革手袋試作B.jpg

お〜、ちゃんとした手袋になりましたね〜!
でも、親指が異常に長い〜! ははっ(笑)

手を入れてみると、指又が少し窮屈に感じたことと・・・・、

なんといっても縫いにくいっっ!

手縫いなら何とかなりそうなんですが・・・・、ただ今回はミシンでの作成を考えていたので“作り易さ”優先で独自に考えた挙句・・・、

革手袋試作C.jpg

型紙をこんな感じで修正してみたました。こっちの方が何となく“手”っぽいし・・・。

革手袋試作D.jpg

指の長さを微調整し、指同士の間を少し開くことで、革漉きやミシンが縫いやすくなるのではないかと・・・。


革手袋試作E.jpg

あちゃ〜!
全然ダメですね・・・・。
もはや人間の手ではなくなって来ているような・・・。


ということで、やはり基本に戻って再試行です。

指又部分をどうするか・・・、うぅ〜・・・。とにかく情報が少ないっ!

日本の情報だけではやや限界があったので、更に海外の情報もチェックしてみると・・・、

おっ!ロシア語やドイツ語、はたまた北欧らしきところから新たな情報がっ!

予想通り、やはり寒い地域から様々な情報が出ている模様・・・。


革手袋試作F.jpg

ということで、指又部分を海外情報を交えながら3つめの試作へと・・・。

革手袋試作G.jpg

おっ、大分よろしくなってきましたっ!
手の甲にステッチを入れることで、表面上のたるみが消え、いい感じ・・・。


革手袋試作H.jpg

ただ、今度は親指回りの可動域がチョット気になって来たので、更に色々調べると・・・、

革手袋試作I.jpg

どうも親指部分は、こちらの形が主流のようです。

革手袋試作J.jpg

縫い方が少し複雑なのですが、慣れると問題なさそう・・・。
簡単に説明すると、写真のアルファベット同士を合わせるわけですが・・・、例えば左のパーツのA〜Bの辺、B〜Cの辺を右パーツの同位置に合わせ縫っていく感じです。

勿論、型紙作成の段階で、各アルファベット同士の長さをしっかりと合わせなければいけませんが、カバンや革小物の型紙が作れる人ならば、差ほど難しくは無いかと思います。

革手袋試作K.jpg

ということで、今収集できる情報を全て詰め込んで両手分を一気に裁断っ!

これらを組み立てていきます。

先ほども書きましたが、今回は全てミシンでの内縫い(縫い目が見えない方法)で進めていきます。(手の甲の波縫いのみ手縫いです。)

革手袋試作N.jpg

お〜、いい感じです。

革手袋試作M.jpg

親指の可動域がかなり広がり動かしやすくなったことと、まさに手にピッタリ合っている感じがします。

革手袋試作O.jpg

と、ここまでの試作で手袋だらけ・・・。




ということで、完成した手袋を2〜3日付けてみて感じたことは・・・、

@なんといっても革が堅過ぎ・・・。
今回の革はカーフ(牛)の1.0o厚なのですが、少しハリがある為、手袋には向いていないようです。
(手袋を付けたままポケットの鍵を取り出したり、財布から小銭を取り出すとき等・・・。)
A指先の長さの微調整が必要。
これもやはりピッタリ合わせないと、手袋を付けた状態で色々不便。(何かを掴む時や、指先でボタンやスイッチを押したりするとき等・・・。)

ということで、更に型紙に微調整を施しつつ・・・、

革手袋試作P.jpg

ラム革を使って、いよいよ本番です。
こちら“プロンジェ”という、フランスの高級ラム革・・・。
市場でこの革の手袋を買うと、おそらく3〜4万はすると思います。


因みに先ほどのAの指先問題とは、こういうことです。

革手袋試作Q.jpg

グーにした時、人差し指・中指・小指の3本には、たるみが出ています。
このたるみ、つまりここに隙間が生じていることが、指先で行う様々な動作の支障に繋がるということです。

革手袋試作S.jpg

写真の青いラインが当初の縫い割りステッチ部分ですが、改めてその下(銀ペンのライン)で縫い直しをすることで微調整が可能です。

ということで、こちらが指先長さを微調整した後の状態・・・。

革手袋試作R.jpg

たるみが無くなっています。

これが、とても重要です。

市販のレザーグローブだとどうしてもこのたるみが出がちですが、手作りだと最後に微調整ができるので、まさにその人の手にピッタリと合わせたものができる、ということですね。

36_1.jpg

なかなか、いい勉強になりました。

あとラム革って他の革と違い、革の中に“空気の層”があるとのことで、保温効果があるせいか実に暖かいです。

36_4.jpg

この冬大活躍してくれそう。

36_2.jpg

次は“ペッカリー”の革で手縫いバージョンも作ってみようと思います。

また、生徒さんでも革の選択さえ間違えなければ、手にピッタリと合わせた手袋ができると思いますので、興味のある方は是非お声がけください。
posted by tomo at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 帽子・手袋その他