先月、お父様への誕生日プレゼントとして“箱マチ”の小銭入れを完成させたTさん・・・。
“小銭入れだけだとチョット寂しいので、長財布も合わせて作りたい・・・。”ということで、早速“束入れ”に挑戦です。

因みに、こちらがその型紙・・・。
小銭入れが型紙3つだけだったのに対し、今回は
なんと18個っ!!誕生日に間に合わないよ〜!とお伝えしましたが、
“大丈夫です、取り敢えず誕生日には小銭入れだけ渡しておいて、後で追っかけで渡しますっ!”
と・・・・、更には、
“その方が、2回喜んでくれるし、喜んでくれる期間も長くなりますから〜。”なるほど・・・、
孝行娘やな〜。まずは、カード入れ部分を・・・。

カードポケットとには、丁寧に“玉捻”を引き・・・、

裏地を(今回はシャンタンを使用)ミシンで縫い進めていきます。

因みに、革は小銭入れと同じ高級皮革“栃木レザー”を使っております。

こちらは“胴表”部分・・・。
タンニンなので磨きでもいいのですが、今回は敢えて手間のかかる“ヘリ返し”仕様で・・・。
こういった革小物は、いわゆる“漉き”がとっても重要になってきます。
“カード段”や“マチ”部分等、たくさんの革や裏地が重なり合い、それを“ヘリ返し”によって包むように糊止め・縫い上げていくので、如何に薄く、且つ強度を壊さずに漉いていくか・・・。
0.2oにすべきか、0.4o位がいいのか・・・、場所や革の質によって見極めていく必要があります。
まさに“革漉き”が命っ!!、というわけです。
こちらは胴表の裏(床)面・・・。
周りの、ヘリ返しの為の“斜め漉き”だけでなく、上下2段に渡って約20o幅で“段漉き”(折れ漉きともいいます)も施しております。
この辺はチョット難易度が高いので、こちらで漉きを施しております。

更には“前段”を作り・・・、
そして、今回初挑戦となる、例の“風琴マチ”・・・。
正確には“風琴マチ”の一種といわれる“渡りマチ”といわれる部分へ・・。
小物づくりにおいて“マチ”には、様々なタイプがあります。
前回Tさんが作った小銭入れの“箱マチ”もそうですが、その他“笹マチ”や“通しマチ”、“アコーディオンマチ(扇マチ)”等、色んなのがあります。
一般的なお財布での札入れ部分は、主には“マチ無し”が殆どで、あったとしても“通しマチ”や“扇マチ”が多いのですが、これらの特徴は折りたたまれるマチが“谷”状になる(つまり仕切りが山状になる)のに対し、
今回の“渡りマチ”は折れ曲がる部分が“山”状になる(つまり仕切りが谷状になる)ため、紙幣の出し入れがし易い、といった特徴があるわけです。まあ、その分難しいのですが・・・。
さあ、Tさん、上手く仕上がるかな・・・?
完成が楽しみです。