が、まだ半分以上革が余っていたので、以前から作ってみようと思っていた“革手袋”の試作を行うことに・・・。
その人の足に合わせた靴が作れるのだから、手袋も作れるだろうと・・・。

まずは靴づくり同様、採寸です。
某革手袋のオーダーメイドを行っている工房の㏋等から、採寸方法をチェック・・・。

基本の型紙等もチラッと出ていたので、それをヒントにまずは靴づくりの感性で進めてみることに・・。
ネットで情報を探していると、量産型の手袋の場合はこの様な形の金型でどんどん革を抜いていくようです。
ということで、この形をベースにまずは片手分を作ってみると・・・、

お〜、ちゃんとした手袋になりましたね〜!
でも、親指が異常に長い〜! ははっ(笑)
手を入れてみると、指又が少し窮屈に感じたことと・・・・、
なんといっても縫いにくいっっ!
手縫いなら何とかなりそうなんですが・・・・、ただ今回はミシンでの作成を考えていたので“作り易さ”優先で独自に考えた挙句・・・、

型紙をこんな感じで修正してみたました。こっちの方が何となく“手”っぽいし・・・。

指の長さを微調整し、指同士の間を少し開くことで、革漉きやミシンが縫いやすくなるのではないかと・・・。

あちゃ〜!
全然ダメですね・・・・。
もはや人間の手ではなくなって来ているような・・・。
ということで、やはり基本に戻って再試行です。
指又部分をどうするか・・・、うぅ〜・・・。とにかく情報が少ないっ!
日本の情報だけではやや限界があったので、更に海外の情報もチェックしてみると・・・、
おっ!ロシア語やドイツ語、はたまた北欧らしきところから新たな情報がっ!
予想通り、やはり寒い地域から様々な情報が出ている模様・・・。

ということで、指又部分を海外情報を交えながら3つめの試作へと・・・。

おっ、大分よろしくなってきましたっ!
手の甲にステッチを入れることで、表面上のたるみが消え、いい感じ・・・。

ただ、今度は親指回りの可動域がチョット気になって来たので、更に色々調べると・・・、

どうも親指部分は、こちらの形が主流のようです。

縫い方が少し複雑なのですが、慣れると問題なさそう・・・。
簡単に説明すると、写真のアルファベット同士を合わせるわけですが・・・、例えば左のパーツのA〜Bの辺、B〜Cの辺を右パーツの同位置に合わせ縫っていく感じです。
勿論、型紙作成の段階で、各アルファベット同士の長さをしっかりと合わせなければいけませんが、カバンや革小物の型紙が作れる人ならば、差ほど難しくは無いかと思います。

ということで、今収集できる情報を全て詰め込んで両手分を一気に裁断っ!
これらを組み立てていきます。
先ほども書きましたが、今回は全てミシンでの内縫い(縫い目が見えない方法)で進めていきます。(手の甲の波縫いのみ手縫いです。)

お〜、いい感じです。

親指の可動域がかなり広がり動かしやすくなったことと、まさに手にピッタリ合っている感じがします。

と、ここまでの試作で手袋だらけ・・・。
ということで、完成した手袋を2〜3日付けてみて感じたことは・・・、
@なんといっても革が堅過ぎ・・・。
今回の革はカーフ(牛)の1.0o厚なのですが、少しハリがある為、手袋には向いていないようです。
(手袋を付けたままポケットの鍵を取り出したり、財布から小銭を取り出すとき等・・・。)
A指先の長さの微調整が必要。
これもやはりピッタリ合わせないと、手袋を付けた状態で色々不便。(何かを掴む時や、指先でボタンやスイッチを押したりするとき等・・・。)
ということで、更に型紙に微調整を施しつつ・・・、

ラム革を使って、いよいよ本番です。
こちら“プロンジェ”という、フランスの高級ラム革・・・。
市場でこの革の手袋を買うと、おそらく3〜4万はすると思います。
因みに先ほどのAの指先問題とは、こういうことです。

グーにした時、人差し指・中指・小指の3本には、たるみが出ています。
このたるみ、つまりここに隙間が生じていることが、指先で行う様々な動作の支障に繋がるということです。

写真の青いラインが当初の縫い割りステッチ部分ですが、改めてその下(銀ペンのライン)で縫い直しをすることで微調整が可能です。
ということで、こちらが指先長さを微調整した後の状態・・・。

たるみが無くなっています。
これが、とても重要です。
市販のレザーグローブだとどうしてもこのたるみが出がちですが、手作りだと最後に微調整ができるので、まさにその人の手にピッタリと合わせたものができる、ということですね。

なかなか、いい勉強になりました。
あとラム革って他の革と違い、革の中に“空気の層”があるとのことで、保温効果があるせいか実に暖かいです。

この冬大活躍してくれそう。

次は“ペッカリー”の革で手縫いバージョンも作ってみようと思います。
また、生徒さんでも革の選択さえ間違えなければ、手にピッタリと合わせた手袋ができると思いますので、興味のある方は是非お声がけください。