最終回の今回は『2つ折りの札入れ』となります。
実は5年程前に一度作成し、当ブログでもご紹介していたのですが(この時は試作の様子のみでしたが・・・。⇒http://sakaiworks-bag.sblo.jp/archives/20121016-1.html)
改めての登場です。
まずは“カード入れ”部分です。

前作・長財布のカード入れのパターンは一枚の革に切り込みを入れただけなので、革の重なりをさほど気にする必要はありませんでしたが、こちらは段々に重ねていく構造の為、より“革漉き”が重要になってきます。

最後の一枚を貼り、右側(財布の中央より)をミシンで縫い上げたところです。
因みに、今回も内装はライトベージュのシャンタンを使用しております。

右側のパーツは“小銭入れ”のマチ部分の一部を組み立てたところ・・・。

こちらは、小銭入れの“カブセ”(いわゆる蓋の部分)・・・。
最終的に、カブセ等の折り曲げて使うパーツは、このようにある程度癖付けをした状態でステッチを掛けていきます。

裏にはホック(正式には“ハンシャ”もしくは“隠しホック”といいます。)のオスをこの段階で付けておきます。
通常のホックであれば、後付けでも構いませんが、使用時に少しでも厚みを抑える為この場合“ハンシャ”の方がいいでしょう。

この部分は開け閉めでそれなりに負荷のかかるパーツとなりますので、“スライサー”や“テキソン”等の心材を入れております。

これで小銭入れ部分が完成しました。

財布の土台となる生地(“中”といわれます。)の中央に薄く全漉きした革“見付け”を貼り、その左に“カード入れ”、右側に“小銭入れ”を配置した状態です。
ようやくお財布っぽくなってきました。
札入れ部分も2層にしている為、もう一枚“中”を段差を付けて貼り合わせ、いよいよ最後に“胴”本体を縫い合わせていきます。

ここでも、前回ご紹介した“へり裁ち棒”が大活躍です。

こういった“革漉き”の技術で仕上がりが大きく変わるような革小物づくりには、欠かせない道具ですね。
ということで、完成〜!

小銭入れの裏(ハンシャ・オスの背中側)と、“中”から右側へのスペース・・・、

またカード入れの裏(中の左側)にもポケットがあるので、カード類なら10枚位は入ると思います。

“菊寄せ”も・・・、まずまずですが、まだまだ精進精進・・・。

ショルダーバッグ(クラッチとの2way仕様)から出てきた、財布類やブックカバーが全部同じ柄・・・・。
ちょっと話のタネになりそう・・・。
最初に書きましたが、革一枚の材料費は¥6,000弱ですので、こういった作り方も経済的で面白いと思いますが、いかがでしょうか?
