前回のショルダーはヘリ返しの裏側が他の素材で覆われて見えなくなるのに対し、今作は裏側も見えてしまう作りの為、より丁寧に仕上げる必要がある、というのが大きな違いでしょうか・・・。
“丁寧に”というのは、革の“漉き”作業から始まってます。

一度機械で全体を漉いていますが、特に角の部分は包丁を使い、更に薄く漉いていきます。

カーブ角の部分は直線部分とは異なり、後で“菊寄せ”といって革を寄せていきますので、厚みが残っていると作業効率も悪く、また見た目も綺麗に仕上がりません。
ということで写真で若干色が薄くなっているところは厚み0.2o位でしょうか・・・。

こちらは、ブックカバーの“見返し”部分です。

本体部分にも裏地を貼り、その上に見返しを貼り付けます。
因みに今回本体部分のヘリ返しシロは、8mm程採っております。
最終的には5.0mや5.5mmにするのですが、裁断時のズレや、貼り合わせるときにでる歪みを考慮し・・、

写真のように、@とAでは同じ幅で採ったつもりでも、このように差が生じてきます。

その差を最終的に調整するのが、こちらの“へり裁ち棒”・・・。

こんな感じで内貼り・見返しとの段差にピタッと合わせて・・、

綺麗に切り揃えます。

これで幅が均一になりました。
今回は5.0mmで切り揃えましたが、4.7o・5.5o・6.0o等々・・、0.3〜0.5mm単位で売っていますので、とても便利な道具です。(全部揃えるとなるとちょっとお高いですが・・・。)

直線部分のヘリ返しについては、前作と同じ手順で進めていきます。

こちらが四隅の“菊寄せ”です。

写真のように、ヘリ返された革の角が直角になるように、また外側は綺麗なアールになるように“刻み捻”という道具で仕上げていきます。

今回裏地で使ったグレーの裏地部分は、“ミンクスェード”といわれる新素材・・。
お手頃な値段の割には名前の通りの手触り感で、最近のお気に入りです。

でもって、ここからは“札入れ”です。

ブックカバーよりも複雑ですが、“革漉き”や“ヘリ返し”、といった作業は同様の行程で進めていきますので、ここでは省きます。

こちらは、一部“スライサー”(0.4mm)を貼り、裏地にはライトベージュの“シャンタン”を使ってみました。


次回、最後は小銭入れやカード段が付いた“2つ折り札入れ”を作ってみたいと思います。