2017年08月19日

Tさん追っかけ記録A(長財布・束入れ編)〜小技満載の長財布が完成っ!の巻

前回のブログ、Tさんの長財布の続きです。

今回は“磨き”ではなく、“ヘリ返し”で進めるということで以前ご紹介しました。

ヘリ返しにも2通りあって、返された裏面が裏地に覆われて完全に隠れてしまうパターンと、裏地を巻き込むことでヘリ返された裏面が見えてしまうパターンとがあります。

一般的なカバンや靴ではほとんどが前者のパターンなのですが、お財布等の小物ではあまり厚みを出せないので、後者で進めたものも多く見受けられます。

後者の場合は見た目も重要になってくるため、少し技術的に難しいのですが、この技法を一般的に“菊寄せ”といいます。

で、今回は難しい方の後者、“菊寄せ”に挑戦することになっております。

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いきなり本番、というには少し難しい技なので、まずは練習です。

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財布に見立てた革と心材をいくつか用意し、本番さながら猛練習・・・・。

菊寄せには、本来“刻み捻”という専用の道具があるのですが、切れなくなった包丁でも代用可能です。

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おっ!四隅 × 2枚 つまり8回ほどの練習ですが、いい感じに仕上がってきましたね〜。

今回は、この“菊寄せ”といい、風琴マチの一種・“渡りマチ”といい、小技満載の長財布になりそうです。

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ということで、早速本番へ・・・。

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最後にグルリを縫い上げて・・・、

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完成〜!

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こちら、初チャレンジの“渡りマチ”・・・。

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菊寄せも、初めての割には上手に出来たのではないでしょうか。

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お父さん、喜んでくれるといいですねっ!

2017年08月08日

Tさん追っかけ記録@(長財布・束入れ編)〜革小物は“漉き”が命っ!の巻

先月、お父様への誕生日プレゼントとして“箱マチ”の小銭入れを完成させたTさん・・・。

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“小銭入れだけだとチョット寂しいので、長財布も合わせて作りたい・・・。”

ということで、早速“束入れ”に挑戦です。

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因みに、こちらがその型紙・・・。
小銭入れが型紙3つだけだったのに対し、今回はなんと18個っ!!

誕生日に間に合わないよ〜!

とお伝えしましたが、

“大丈夫です、取り敢えず誕生日には小銭入れだけ渡しておいて、後で追っかけで渡しますっ!”

と・・・・、更には、

“その方が、2回喜んでくれるし、喜んでくれる期間も長くなりますから〜。”

なるほど・・・、孝行娘やな〜。


まずは、カード入れ部分を・・・。

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カードポケットとには、丁寧に“玉捻”を引き・・・、

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裏地を(今回はシャンタンを使用)ミシンで縫い進めていきます。

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因みに、革は小銭入れと同じ高級皮革“栃木レザー”を使っております。

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こちらは“胴表”部分・・・。
タンニンなので磨きでもいいのですが、今回は敢えて手間のかかる“ヘリ返し”仕様で・・・。

こういった革小物は、いわゆる“漉き”がとっても重要になってきます。

“カード段”や“マチ”部分等、たくさんの革や裏地が重なり合い、それを“ヘリ返し”によって包むように糊止め・縫い上げていくので、如何に薄く、且つ強度を壊さずに漉いていくか・・・。

0.2oにすべきか、0.4o位がいいのか・・・、場所や革の質によって見極めていく必要があります。

まさに“革漉き”が命っ!!、というわけです。

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こちらは胴表の裏(床)面・・・。
周りの、ヘリ返しの為の“斜め漉き”だけでなく、上下2段に渡って約20o幅で“段漉き”(折れ漉きともいいます)も施しております。

この辺はチョット難易度が高いので、こちらで漉きを施しております。

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更には“前段”を作り・・・、

そして、今回初挑戦となる、例の“風琴マチ”・・・。
正確には“風琴マチ”の一種といわれる“渡りマチ”といわれる部分へ・・。

小物づくりにおいて“マチ”には、様々なタイプがあります。
前回Tさんが作った小銭入れの“箱マチ”もそうですが、その他“笹マチ”や“通しマチ”、“アコーディオンマチ(扇マチ)”等、色んなのがあります。

一般的なお財布での札入れ部分は、主には“マチ無し”が殆どで、あったとしても“通しマチ”や“扇マチ”が多いのですが、これらの特徴は折りたたまれるマチが“谷”状になる(つまり仕切りが山状になる)のに対し、今回の“渡りマチ”は折れ曲がる部分が“山”状になる(つまり仕切りが谷状になる)ため、紙幣の出し入れがし易い、といった特徴があるわけです。

まあ、その分難しいのですが・・・。

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さあ、Tさん、上手く仕上がるかな・・・?

完成が楽しみです。

2017年08月03日

Tさん追っかけ記録A(ショルダーバッグ編)〜ひとつの鞄で色々な技にチャレンジっ!の巻

前回ご登場のIさん・・・。
当初“ハンドバッグ編”となっておりましたが、ショルダーの間違いでした・・。スミマセン・・・。

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ということで、いきなりですがショルダーのベルト部分のショットです。

今回は、同じ革を表裏貼り合わせる形ですが、表側は“ヘリ返し”をし、裏は“市切り”で切り落とすパターンで進めるようです。

いずれも、漉き機でいわゆる“ゼロ漉き”を施す必要がありますが、これだけ長いとちょっとドキドキですが・・・・・、
なんとか上手く漉けたようですね・・・。

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150o位でしょうか・・・・、この長さだと一枚では取り切れない場合もありますので、途中でツギハギしております。
売り物のバッグ等でも時折こういうケースはありますので、問題はないと思われます。

また、長さ調節をする為、今回は“コキカン”を取り付けるみたいですね。

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外縫いのマチには“ダーツ”を入れて、立体感を演出です。
そしていよいよ、マチと胴を縫い上げて・・・、

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更には、カブセ(蓋)部分の表と裏を縫い合わせ・・・、

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良い感じに仕上がってきました・・・。
丸鋲や、“飾りミシン”等・・・、今回は遊び心が満載です。

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今回のバッグは、いわゆる“落とし”もしくは“落とし込み”といわれるパターンの作りとなっております。
つまり、表(外側)と裏(内側)をそれぞれ別々に作り、最後に開口部を縫い合わせて仕上げる方法です。


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その開口部を最後に縫い上げ・・・、

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完成〜!

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背胴側には、ファスナーポケットが・・・、

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また内側にもファスナーポケットを付け、より使い勝手を考えております。

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今回は、ひとつの鞄で色々な技にチャレンジできたみたいで、かなりスキルアップできたようですね。

Iさん、この流れで次作はお母さまにバッグを作られるそうです。