2017年04月19日

お財布パンパン問題

お母さまからお財布のカスタマイズを依頼されたKさん・・・。

Kさん財布修理A.jpg

爬虫類系の革を使った、なかなか上物のお財布のようです。

Kさん財布修理@.jpg

内装は合皮等を使うものが多い中、ちゃんとした牛革が使われており、10年近く使っている割には状態は決して悪くないのですが・・・。

お母さま曰く・・、
“中にカードとかいっぱい入れるとパンパンになって、ファスナーが開いてきちゃうの・・・”

・・・・そ、それは単にこの財布が持つ本来のキャパシティを超えているだけなのでは・・・

とも思いましたが、せっかく革小物の経験値を積んだ娘が

“任せなさいっ!”

と持ち込んできたので、そこは敢えて目を瞑り、早速解体作業へ・・・。

Kさん財布修理B.jpg

あ〜ぁ、バラバラ〜・・・。もう後戻りできませんよ・・。

Kさん財布修理C.jpg

片面の爬虫類革の方は状態もよく、またこの財布の売りでもあるのでそのまま再利用しますが、もう片面の牛革の方はやや劣化が進んでいたので、こちらは“タンニン鞣し”の高級皮革を使うことに・・。

Kさん財布修理D.jpg

また問題のファスナーですが、コイル式(樹脂製)だったので、ここは金属製で壊れにくいものに替えることに・・・。
これでファスナーが開いてしまうことはなくなるとは思うのですが・・。(まあ、それでも本来のキャパ内でお使いいただくのがベストなのですが・・。)

Kさん財布修理E.jpg

内装や心材も殆ど劣化がないので(心材の一部劣化しているところだけ新しいものを入れて)、ほぼそのまま再利用していきます。

Kさん財布修理F.jpg

最も難易度の高い、観音開きになるファスナー付け作業へ・・。

Kさん財布修理G.jpg

ミシンもドキドキです。
基本、既に空いているミシン穴に針を落としていかないといけないので、ここは結構プロでも難しい作業なんです。

で、なんとか完成〜!

336_2.jpg

モスグリーンのタンニン革を使ったことで、だいぶ印象が変わりましたね。

336_4.jpg

外付けのポケット部分も同様に金属製のファスナーに替えましたので、これでパンパンに入っても壊れにくくなったとは思いますが・・・。

まあ、それでも中に入れるのはほどほどにお願いします。
posted by tomo at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 教室・工房

2017年04月04日

ダンディSさん追っかけ記録A(カメラケース編)〜たまには“駒合わせ縫い”はいかが?の巻

前回に引き続き、Sさんカメラケース・・。

SさんカメラケースE.jpg

カメラ本体を支える部分です。

SさんカメラケースF.jpg

これまでと違うところは底面と側面のステッチ・・・。
一見同じような感じですが、ここだけは『駒合わせ縫い』という方法で縫ってます。

一般的な『平縫い』といわれるステッチは縫い目の数を合わせる必要があります。

平縫い.jpg

分かりにくいので上の図で説明すると、側面の革と底面の革の穴の数はそれぞれ8つです。
ところが側面革(外)と底面革(内)では、外径と内径で差が生じますがそのズレを解消するために、カーブの部分では内側の穴のピッチを小さく(3〜4o)しています。

ところが『駒合わせ縫い』は縫い目の数は無視して縫い合わせる方法です。

駒合わせ縫い.jpg

側面(外側)の革の穴が8つに対して、底面(内側)の穴は7つ・・・、一つ少ないです。
基本的にステッチは穴が対になっていなければならないのですが、今回のようにカーブが急だったりする場合はこのように角の部分で帳尻を合わせるように縫い進めていきます。

分かるかな・・・?

ということで、本体ケース部分も完成〜!

SさんカメラケースM.jpg

で、こちらは“コンチョ式”のジャンパホック・・。

SさんカメラケースP.jpg

いい感じで取り付けて・・・、

SさんカメラケースQ.jpg

ストラップ部分だけは時間短縮の為、ミシンでダッダッダッ〜と・・。

SさんカメラケースR.jpg

で最後に染色をして・・、

SさんカメラケースS.jpg

完成〜!

333_1.jpg


こちらはカバー部分・・。

333_2.jpg

で、本体&ストラップ・・・。

333_5.jpg

333_4.jpg

333_7.jpg

これからのお花見&行楽シーズンに大活躍してくれそうですな・・。