2013年02月19日

楽器ケース作り〜サンポーニャ編・其の@

さて前回の尺八ケースに続き、今度は“サンポーニャ”ケースです。

サンポーニャもどうやら南米系の楽器のよう・・・。

こちらも尺八同様、なんの情報も無いまま・・・、

サンポーニャケース@.jpg

この簡単なサイズ表で進めることに・・。

やっぱり、普段木型を使う“靴”を作っていると、中身がないとどうしても不安でドキドキ・・・。


各サイズを基に、内側クッションの厚みや、内縫いシロの余分を乗せて、型紙を作ってみる。

サンポーニャケースA.jpg

前回作った“マルタ”ケースは、依頼主さんのイラストに準じて袋状で作成しましたが、同じような形の楽器とはいえ、また同形では能が無いのと・・

前回のものは作り手側からしてみると、色々と反省点というか、

“あ〜、ああした方がもっと良かったな〜”的な部分も多かったので、いっそ全然違う感じにしてみようかと・・。


で、楽器の形状から、ギターケースやヴァイオリンケースっぽい感じがいいかな・・、と。


ストラトヴァリウスのように楽器そのものが高級感溢れる感じになるかな・・。


サンポーニャケースB.jpg

前回同様、2Πr(パイアール)の計算です。

これだけ細長い形状だと、胴の周囲とマチの長さを緻密に計算しないとどうしても誤差が生じてしまいますので、ここは何度も慎重に・・・。


今回の革は、依頼主様の意向に合わせ、赤茶っぽいものをチョイス。

“高級感”重視なので、チョットお高めのタンニンなめし革、【ディナオイル絞り】で・・。

サンポーニャケースC.jpg

ファスナーも#5の“エクセラ”をチョイス・・。タッセルなんかも付けてみました。


サンポーニャケースD.jpg

持ち手はこんな感じで・・・。

サンポーニャケースG.jpg

折角タンニンなので、折り込みではなく“磨き”です。


時々、お店などで鞄の持ち手・結合部分の裏側なんかを無理やり覗き込んでみますと、何の処理もしてないものもありますが、今回は裏もしっかり貼りこみ、“隙の無い”仕様に・・。

なんせ“高級感”ですから・・・・。

サンポーニャケースH.jpg

“ガラ芯”もしっかり詰め込み、ポッコリ感を・・。

サンポーニャケースI.jpg

ただし本体に縫いにくいので、予め空縫いをしてから胴本体に縫い付けます。

さあ、ここからいよいよ組み立てです。


サンポーニャケースJ.jpg


前胴、背胴、マチと、更には玉縁ちの内縫いシロをしっかりと包丁で荒らして糊付けです。

内装のシャンタンも含めると、約5mm厚・・・。


サンポーニャケースK.jpg

厚いな・・・。

直線部分は問題ないが、先端・小さい方のアールはΦが80mmだけど大丈夫かな・・・。

ドキドキのまま、次回へ・・。
posted by tomo at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 鞄・小物作り

2013年02月05日

楽器ケース作り〜尺八ケース編

久しぶりの鞄作りブログの更新です。

かれこれ2ヶ月近くのご無沙汰でしょうか・・・。


コツコツ地道に進めてはいたんですけどね・・、
年末年始のバタバタや、確定申告やら、色々とね・・・。

まあ言い訳はこの辺にして・・・、
さて今回からは特殊な鞄シリーズということで、“楽器ケース編”をご紹介です。

知人のお母様からのご依頼で、全部で4品ほど・・。

ただ、実は3年ほど前から寝かしてしまってます。

3年前の依頼直後には、まずは、

オカリナ袋.jpg

こちらの“オカリナ”ケースを完成させ・・・、


さらに勢いに任せて、

サンポーニャ.jpg


こちらの“マルタ”ケースを仕上げました。
(マルタとは、どうやら南米地方の民族楽器の一種のようです。)

まあ、ケースと入っても“袋”的なもので構造も簡単なので、既に仕上げ&お渡し済み。


ただ、その後がいけません・・・。

忙しさにかまけて、残り2品はずっとほったらかし状態・・・。


“暇な時に、いつでもいいですよ”

この言葉に、ついつい甘えてしまいました・・。

お母様、スミマセンでした。


ということで、まずはこちらの尺八ケースを・・。


尺八ケースK.jpg

因みに現物は無く、この情報だけ・・。

へ〜、尺八って1尺八寸だから尺八っていうんだ〜


尺八本体も含め全く無知な為、ネットで色々調べてみたが、布の袋的なものはあるが、ケース状の入れ物は見当たらず・・・。

大丈夫かな・・。

まあ、やってみましょう。

3年前よりは、経験値も上がってるでしょうし・・。


まずは、前回の袋状のものではなく、ケース状のものにするので

@外側は丈夫にすること

を考慮し、革のみではなく心材を入れることに・・。

尺八ケース@.jpg

そこで今回は0.8mm厚のボンテックスを使用。

尺八ケースA.jpg

イメージ図によると“楕円形”なので、キレイなアールが出るよう、目打ちでいわゆる“すじ引き”をして・・、

尺八ケースB.jpg

革を貼り付けます。

尺八は、ご存知日本が誇る和楽器・・。

なので、革はちょっと“和テイスト”っぽい感じのヌバックをチョイス。

また、

A中の楽器を保護すること

を考慮し、内側には3mm厚のクッションを入れることに・・。

どうも、1尺八寸の長さではなく、二つに分割できるようなので、30cm程の高さでよさそうなんですが、中に仕切りを入れて収納したいとのこと。

ムムッ・・・、この辺ちょっと大変かも・・。


尺八ケースC.jpg

まあ、こんな感じで・・・。
因みに内張りも“和柄”にしてみました。

底にももちろん心材&クッションが入るので、ミシン縫いがちと面倒・・。

心材も一緒に縫い上げたいところだが、構造上、どうしてもミシンが入らず・・・。

また心材を楕円形に縁を曲げるのが難しい為、色々考えた末・・、


尺八ケースD.jpg

こんな感じで鉢巻上の内縫いで何とかまとめてみる。

上げ底的な感じも、楽器の保護には良いのではないかと・・・。


でもって、肩紐を同じ革で作り・・・、

尺八ケースE.jpg

市切りで、ピーッと・・・、

この作業、毎回思うが超快感!


尺八ケースF.jpg

で外側のケースと内側のケースをスポッとはめ込んでミシン縫い、っと。

この外径と内径の差を出す計算が面倒で、縫い合わせるまでドキドキでしたが、ピッタリでこちらもウルトラ超快感!!!


今度はフタですね。


尺八ケースG.jpg

まずは内縫い&玉ぶちで革を縫い上げ、その内径を出してフタの縁の心材を作成。

このフタの縁の心材の径と、本体外側の心材の径がピタッと合わないといけないので、計算、計算、計算・・・。

尺八ケースH.jpg

こちらもパコッとはめ込んで、内縫い部分に内張りの布を巻き込み・・・、

尺八ケースI.jpg

フタ本体の天井部に心材&クッションを縫い込んだものを・・、

尺八ケースJ.jpg

こちらもパコッっと。


ふ〜〜っ・・。

本体の上部と底部、更にはフタと、楕円形の外径・内径差のトラップが満載のケース・・。

2πr(パイアール)の計算だらけの型紙です。

理系頭で良かった〜。


21_thumb.jpg

さて次回は、“サンポーニャ”ケース編へと続く・・・。
posted by tomo at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 鞄・小物作り